最近、会社への仕返しのために意図的なトラブルを起こしながら退職する、「リベンジ退職」が話題となっている。
今回は、リベンジ退職とは何か?といったことから現場で起きている「リベンジ退職」のリアルまで調査しました。
リベンジ退職とは?
一言で言えば、『仕返し目的』の退職のこと。
会社や上司への不満や怒りを晴らすために、意図的に組織へ損害を与える形で退職する風潮のことを指している。
なぜ仕返しのために退職するのか?

企業側としては「会社が嫌なら黙って退職してもらえればいいのに」と思われるだろう。
しかしリベンジ退職に至るまでには、積もりに積もった不満や怒り、憎しみをもっているケースが多く。、それが「リベンジ退職」の引き金になっている可能性が高い。
では、推測の域を出ないが、リベンジ退職が増加している背景として、
1.SNSや口コミサイトなどの発信多様化
今や、SNSや会社の口コミサイトなど、個人が情報を発信できるプラットフォームがとても充実してきたことで、「会社内の勤務実態が容易に可視化、世間にしらしめることができる」環境が整っていることも「リベンジ退職」が加速している背景の1つだろう。
2.雇用流動化の促進
昔は「石の上にも3年」と言われ、会社が嫌だとしてもとりあえず3年は続けてみるといった、『会社を辞めることはネガティブ』な風潮がありました。
ですが昨今は、辞めることは悪ではない・転職が当たり前の世の中になってきたことが
「リベンジ退職」を加速する1つのきっかけになったと思われる。
3.社員の組織への帰属意識の低下
昔は「会社のために人生を捧げる」といった価値観が浸透していたが、
終身雇用の終焉、年功序列が薄れてきた昨今、これまでの雇用慣行も大きく変わり、
社員のキャリア形成や働き方に対する意識変化が起こっていることも「リベンジ退職」を増加させる1つの要因のなっていると考えています。
「リベンジ退職」に見られる3つのパターン
「リベンジ退職」の考えられるパターンを簡単に列挙します。
- SNSなどによる内情暴露:SNSや口コミサイトに社内風土や職場の不満を暴露するパターン
- 繁忙期の急な退職:繁忙期や決算月・商戦時期を狙って退職するケース
- 引継ぎ拒否:退職時に業務に関する情報やノウハウを引継ぎせず退職するパターン
このように、1人のリベンジ退職が組織全体へ大きな影響を及ぼす可能性もある。
だからこそ、会社として上記のような予兆を察知する必要があると考える。
「リベンジ退職」を防ぐための対策は?
1.心理的安全性の確保
部下が困った時や相談したいときに安心して意見や報連相できる環境作りは欠かせない要素。時には1対1の定期面談を設け、
「何か業務やそれ以外でも困っていることはないか」
「会社に向けて改善してほしいことはないか」
と上司の思いと部下の思いの認識ギャップを埋めること、そうした行いが、離職の兆候をつかむ糸口になるかもしれない。
また、部下の話を聞くだけ聞いて何も変わらないパターンは要注意。聞いたうえで改善に取り組む会社としての姿勢を見せ、「意見を言ったことが無駄ではなかった」と部下に感じさせるのも大切な要素だと感じる。
2.平等な成長機会・公正な評価や処遇
平等な成長機会、評価やその処遇(昇給や昇格)などの公正化・透明化も「リベンジ退職」を減らす1つの方法になるのではないかと考える。
「若い頃は、評価なんか気にせずにただがむしゃらに仕事をしてきた」
と思っていないだろうか。ただ、今一度、組織内で定めている評価と部下の認識ギャップがあるのかどうか、すり合わせを行うのが第1歩のように感じる。
3.その他労働環境の改善
労働環境の改善によって「リベンジ退職」へ有効な対策となる可能性があります。
- 柔軟な働き方の推進:リモートワークやハイブリッド勤務など
- 社内アンケートの実施
- ITツールやDX推進による業務効率化を図る
- 休暇制度の充実
- 福利厚生の充実
- 相談窓口の設置 など
まとめ
1.リベンジ退職が起こっている背景として、
- SNSや口コミサイトなどの発信多様化
- 雇用流動化の促進
- 社員の組織への帰属意識の低下
が挙げられる。
2.「リベンジ退職」の手法として、
- SNSなどによる内情暴露
- 繁忙期の急な退職
- 引継ぎ拒否
などが考えられる。
3.「リベンジ退職」の対策として、
- 心理的安全性の確保
- 平等な成長機会・公正な評価や処遇
- その他労働環境の改善
をご紹介してきました。
昨今の人手不足により、労働環境等が激変しているにもかかわらず、「リベンジ退職」が追い打ちをかけ、企業側も大きな痛手となり、受けるダメージは大きいものになってしまう。今後より一層の組織改革が必要になってくるのかもしれない。